決算が赤字の場合法人税の取り扱いはどうなる?
企業が赤字決算になった場合、利益が発生しないため法人税の申告や支払い義務は発生しないと考える方もいるかもしれません。
しかし、赤字決算であっても法人税の申告は必要であり、一部の法人税については支払い義務が発生します。
この記事では、赤字決算の場合の法人税の取り扱いについて解説します。
申告は必要か?
赤字決算であっても、法人税の申告は必要です。
法人税法第74条に基づき、各事業年度終了の日の翌日から2ヶ月以内に申告書を提出しなければなりません。
赤字でも発生する法人税
会計上の利益と税法上の利益は算定方法が異なる場合がありますが、法人税は税法上の利益に対して課税されます。
税法上の利益がマイナスであっても、すべての税金が免除されるわけではありません。
下記の税金については税法上の赤字であっても課税されます。
法人住民税の均等割
法人住民税には「均等割」と呼ばれる税金があり、企業の所得に関わらず支払う必要があります。
均等割の税額は、企業の規模(資本金)や従業員数に応じて決められています。
たとえば、資本金が1,000万円未満で従業員が50人以下の小規模な会社でも、最低限7万円の法人住民税を毎年支払わなければなりません。
法人事業税
法人事業税は、事業を営む法人に対して課される地方税です。
通常は所得に応じて課税されますが、資本金が1億円を超える法人や特定の業種(電力・ガス事業など)については、赤字の場合でも事業規模などに応じて税金が発生することがあります。
欠損金の繰越控除の利用
企業が赤字を出した場合、その赤字額は「欠損金」として、翌期以降の黒字と相殺することができます。
この仕組みを「欠損金の繰越控除」と呼び、将来の利益から過去の赤字額を差し引くことで、課税所得を減らし法人税を抑えることができる制度です。
具体的には、赤字を出した年度の翌期から10年間にわたり、将来の黒字と相殺して課税額を軽減できます。
この制度を利用するためには、青色申告書である確定申告書を各事業年度について連続して提出している必要があります。
まとめ
赤字決算の場合でも、法人税の申告は必要です。
また、赤字でも法人住民税や事業税など、一部の税金が発生する場合があるため、注意が必要です。
法人税の取り扱いについて不明点があれば、ぜひ小澤裕司税理士事務所にご相談ください。
当事務所が提供する基礎知識
-
NPO法人と会社の違...
NPO法人と会社の違いは、主に2点挙げられます。以下で、詳しくご紹介いたします。 1.事業目的株式会社の場合は、最大の事業目的は「経済的利益の追求」です。株主などの出資者から集めた資金をもとに事業を行い、可能な […]
-
所得税の源泉徴収
所得税は、所得者自身が、その年の所得金額とこれに対する税額を計算し、これらを自主的に申告して納付する「申告納税方式」が原則とされています。これと併せて、特定の所得については、その所得の支払いの際に支払者が所得税を徴収して […]
-
NPO法人の税務
NPO法人は、法人税や地方税、消費税などさまざまな税金を申告・納付する必要があります。こちらでは、税種別のNPO法人における税務についてご説明いたします。 1.法人税収益事業を行っているNPO法人は、収益事業に […]
-
所得税申告の流れ
所得税は身近ですが難しい手続きも存在します。中でもよく皆さんが疑問に思うのは、申告に関してではないでしょうか。この記事では、所得税の申告方法についてご説明します。 所得税は、申告納税方式がとられています。申告納 […]
-
法人の種類と課税
法人税が課税されるのは全ての法人ではなく、一部の法人は法人税が課税されません。法人税は、収益を得ている企業に対して課税される税金であるため、公益法人や公共法人のような非営利な団体に対しては非課税となります。以下ではもう少 […]
-
税務調査
税務調査とは、税務署等が提出された帳簿等を確認して、誤りがある場合には是正を求める手続のことです。そして、税務調査には、「強制調査」と「任意調査」の2種類があります。強制調査は、マルサと呼ばれる国税局査察部によって、ある […]
よく検索されるキーワード
税理士紹介
税理士
小澤 裕司(おざわ ひろし)
企業の安定を目指し、二人三脚でサポートいたします。
当ホームページをご覧いただきありがとうございます。 私は長年企業の税務会計に携わってきました。 毎日の会計処理、月次決算、期末決算、税務調査や申告など重要なポイントは多岐にわたり 一つのボタンの掛け違いが大きなミスに繋がることもあります。
一般法人、NPO法人で税務会計にお困りの皆様は、ぜひ会計のプロである当事務所にご相談ください。
-
- 所属
-
- 東京地方税理士会 川崎南支部
- TKC会員
-
- 経歴
-
- 昭和36年生まれ
- 大学卒業後、父親の経営する税理士事務所に勤務
- 平成2年税理士登録
- 平成14年に小澤裕司税理士事務所を設立
- 以来長年に渡り、川崎市中心に企業税務を中心に活動
事務所概要
事務所名 | 小澤裕司税理士事務所 |
---|---|
所属税理士 | 小澤 裕司(おざわ ひろし) |
所属団体 | TKC会員 |
所在地 | 〒210-0007 川崎市川崎区駅前本町20-11 本町共同ビル7階 |
電話番号 / FAX番号 | TEL:044-233-9101 / FAX:044-233-6095 |
対応時間 | 平日:9:00~17:00 |
定休日 | 土・日 |